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  3. 2017.10.11

クラウドファンディングで中小企業が得られる5つのメリット


新たな資金調達手段として注目されているクラウドファンディング。米国を中心に発展してきた市場ですが、日本でも大手企業や地方公共団体が参入するようになり、着実な広がりを見せています。

その背景には、資金調達にとどまらないさまざまな魅力があります。
クラウドファンディングが、中小企業にどのようなメリットをもたらすのか、基礎知識とともに紹介します。

クラウドファンディングとは?

クラウドファンディングとは、「crowd(群集・大衆)」と「funding(資金調達)」からできた造語です。
インターネット上のプラットフォームに、個人や事業法人が資金集めを目的としたプロジェクトを立ち上げ、出資者を募ります。インターネットを使うことで、小口ではありますが、多くの出資者を集めることができる仕組みです。

出資方法には種類がありますが、現在、主流となっているのは、以下の3つです。

・出資者が見返りを求めず、ボランティアの要素が強い「寄付型」
・出資額に応じたサービスや商品を引き渡す「購入型」
・出資額に応じた利息や配当をリターンとする「貸付型(ソーシャルレンディング)」

クラウドファンディングは、米国を中心に拡大してきました。現在、大手となっているクラウドファンディング運営会社は、2008年から2009年にかけてサービスを開始、その後急成長を遂げ、今では資金調達の有効な手段の一つとして認知されています。

日本で普及したのは2011年ころです。東日本大震災で罹災した企業や個人の復興を手助けする手段の一つとして広がっていきました。そのため、社会貢献の取り組みとして、見返りを求めない「寄付型」や「購入型」が中心となっていたのが特徴です。

その後、クラウドファンディングの拡大とともに、中小企業の活動や事業への出資が増加します。金額ベースでは「貸付型」が主流となり、今では約9割を占めると言われています。日本での2016年の推計市場規模は、477億8,700万円(矢野経済研究所発表)で、急拡大している市場です。

政府の方針により、地方公共団体や地域金融機関がクラウドファンディングに参加し、地方経済を活性化しようという動きもあります。今後、さらに市場が拡大していくのは間違いないでしょう。

資金調達だけではない中小企業にとってのメリット

クラウドファンディングがこれまでの資金調達方法と大きく違うのは、プロジェクト自体を出資者にダイレクトに訴求していけることにあります。さらに、出資者となる人の多くは、提供する商品やサービスのターゲットと重なる点がポイントです。

そのため、クラウドファンディングの活用は、単なる資金集めだけでなく、さまざまな意味合いを持つことにも注力しなければなりません。

中小企業がクラウドファンディングを活用するメリットには、大きく次の5つがあります。

●BtoBの販路開拓手段に
多くのユーザーの目に触れるプラットフォーム上で、商品やサービスの魅力や開発背景などをPRすることにより、販路拡大や新規顧客の創造につながります。これまで商材をアピールする機会をもたなかったBtoBの企業にとっては、自社の技術や特性をおおいにPRできる場となります。

●認知が広がる宣伝効果
出資者は、自分が共感できるプロジェクトを見つけ出すために、多くの案件に目を通します。たとえ出資に至らない場合でも、商品やサービスを認知されることになります。また、多くのプラットフォームでは、締め切り後もプロジェクトの掲載を継続しているため、後になって盛り上がりを見せることもあります。

●スモールスタートでリスクを軽減
計画段階から出資者を集められるため、商品製造のための必要経費の準備がなくてもトライすることが可能です。初めに大きな投資をせずに様子をみることができるため、リスクを軽減した事業展開ができます。ここで市場の高い評価を得ることができれば、金融機関からの融資につながる可能性も高まります。

●新規事業のマーケティングに
ニーズの有無が分かっていない場合、クラウドファンディングを活用することで、その可能性を探ることができます。当然、資金集めもできるため、製造コストなどの負担を大きく減らしたままテストできるメリットもあります。

●ファンを獲得できる
出資者は、プロジェクトに共感し応援したいという人たちです。それゆえに、将来のお客様になる可能性が非常に高く、ファンとなり、その事業をサポートしてくれる貴重な存在となります。

話題を集めたクラウドファンディング3例

ここからは、実際にクラウドファンディングを活用し、成功を収めたプロジェクトを紹介します。

●幻の国産車「くろがね四起」復元計画
70年前、日本で初めて製造された四輪駆動乗用車「くろがね四起」を自走できる状態に甦らせたいと立ち上げられたプロジェクトです。目標金額1,000万円に対し、1,300万円の資金を集めました。

「自動車大国である日本の機械技術を後世に残してほしい」と、賛同者を集めることに成功した事例です。3万円出資すれば「助手席に乗って記念撮影」、10万円出資すれば「助手席に乗って走行できる」といった、プロジェクトの特性を生かしたリターンも成功の一因です。「幻の国産車に試乗する」という体験に魅力を感じ、出資した人も多数います。

●浮遊して光るスピーカー「LEVI SOUND」の商品化
音楽好きの中年男性が集まって作ったグループが、「目で観て楽しめ、心が和むガジェットの開発をしたい」として取り組んだプロジェクトです。

先行販売を兼ねた商品化資金を募集したところ、目標額の100万円は一週間でクリアする快挙を達成しました。大手家電量販店や海外からの問い合わせも集まって商品化され、現在も販売が継続しています。現在までの支援金額は約1,700万円です。

●下関の複合施設「ウズハウス」リノベーション費用
下関に現存するビルをリノベーションすることで、地域活性化に役立つ複合施設を作るための資金集めプロジェクトです。目標額3,000万円に対し、4,400万円を集めています。下関や山口県在住者・出身者が地元への出資に前向きだったことに加え、企業を対象にした100万円出資枠を設けたところ、30社が支援したことが成功の最大のポイントです。


単なる資金集めにとどまらないクラウドファンディングは、中小企業だから享受できるメリットが多くあります。市場の拡大の背景には、完成された商品ではなく、出資することを通じて商品やサービスを育てていきたいという出資者のニーズがあります。中小企業経営者を支える新たな経営手法として、取り入れる価値は十分にあります。

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