1. 事業革新
  2. 販売チャネルを広げる
  3. 2017.11.01

金属加工がインバウンドで人気?外国人旅行客が集まる意外な名所


日本の歴史・文化を楽しむ外国人旅行客が増加するなか、日本文化を象徴する「モノづくり」の現場に外国人旅行客が集まっています。日本人から見れば観光資源とは呼べないような産業の街に、どのような魅力が見出されているのでしょうか。外国人の視点で再発見され、注目が集まった3つの事例を紹介していきます。

金属加工の工場見学【新潟県・燕三条】

燕三条は江戸時代から続く金属加工産業の町です。江戸時代初期にはすでに「和釘」の名産地として知られ、江戸の建築物にも多く使われていました。やがてその技術を源に、ヤスリやキセル、彫金細工、刃物、金属洋食器へと流れが続いていきます。

ものづくりの町を意識し地域活性化につなげてきた燕三条が、新たな取り組みとして2013年から開催しているのが「工場の祭典」です。オープン・ファクトリー(開かれた工場)のイベントとして、ものづくり現場の見学や、ワークショップを提供しています。70にも及ぶ工場が一般公開されるこの期間は、普段は閉ざされている職人の世界が一斉に開きます。

世界の有名シェフがこぞって日本製の刃物を愛用することでも知られるように、海外では日本の調理器具への関心が高まっています。イベント開催中は東京からツアーが組まれるほどの人気ぶり。とくに、ものづくり体験コースは人気が高く、通訳の導入など外国人旅行者の受け入れ体制も強化しつつあります。

「開け、工場」をコンセプトにした燕三条の試みにより、インバウンドとは無縁に見えた町が活気づいています。テーマデザインとなっているピンクストライプは、地場産業の未来をも明るく彩っているかのようです。

南部鉄器【岩手県】

明治35年創業、南部鉄器製造業者の老舗、株式会社岩鋳では現在の売上の半分を海外から得ているといいます。

日本の伝統的工芸品である南部鉄器は、かつて時代の波に押され、衰退の一途をたどっていました。鉄器は重量があるうえ扱いが難しく、日常的に使っていないとすぐに錆が出ることから、アルミなどの新しい素材に用途が奪われていったのです。

ターニングポイントとなったのは2010年の上海万博での、高さ1.6メートルの巨大鉄瓶を配したプロモーションでした。中国メディアの注目を集めると同時に、鉄瓶の鉄分豊富なお湯とプーアル茶の相性の良さが広く知れ渡り、一躍人気商品となったのです。

また色鮮やかなモダン鉄瓶の開発により、海外各国から注文が相次ぎました。現在ではヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国、シンガポールに代理店を進出させています。

少子高齢化で鉄瓶の重さが嫌われる国内とは異なり、海外からの受注は生産が追いつかないほどです。今後も国内需要の縮小が予想されますが、海外市場を手中にした南部鉄器の未来は明るく、後継者不足も解消してきています。

岩手県を訪れる外国人旅行者の観光ルートでは、ガラス越しに製造工程が見られる工房見学コースが人気を集めています。盛岡市内にはこの他にも工房見学ができる施設があり、岩鋳工房とともに免税店登録されています。免税対応が簡略化されるシステムや外電話通訳システムの導入も進められ、インバウンドに対する南部鉄器効果に大きな期待が寄せられています。

これも日本文化?「食品サンプル」制作体験【大阪】

日本人にはごく見慣れたショーケースの中の食品サンプルが、外国人旅行客に大人気のお土産品となっています。日本人にとっては「お店の看板」的な食品サンプルですが、海外から見れば日本の職人が生み出した立派な工芸品と映っているようです。

大阪・千日前道具屋筋商店街にある食品サンプル専門店「デザインポケット」では、食品サンプルから作られた約1,000種類もの雑貨を販売しています。キーホルダー、携帯ストラップ、名刺入れなど、さまざまな商品が並ぶ店内は、常に外国人観光客の驚きの声で満ちています。

また、1時間弱で食品サンプル制作を体験できるサービスも人気があります。商品を購入するだけでなく、実際に制作する工程が楽しめるアミューズメント的な要素が好評の理由です。「どうやって作っているのだろう?」という外国人観光客の視点に着目した結果、商店街の一角が観光地としての価値を高めることにつながりました。

いっけん、インバウンドとは無関係そうなものが、外国人旅行客の興味関心を誘うこともあります。たんなる観光にとどまらず、実際に体験できる場を提供することで、インバウンドの呼び込みに成功している例は少なくありません。日本文化を体験する外国人が増えることで、海外でのブランディングになる効果も期待できるといえるでしょう。

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