1. 事業革新
  2. 販売チャネルを広げる
  3. 2017.11.30

下請け工場からの脱却をはかるファクトリーブランドの戦略とは


海外の格安衣料ブランドの出店やファストファッションが台頭する日本のアパレル業界。一方で、工場が自らブランドを立ち上げる「ファクトリーブランド」が国内外での販売力を高めています。下請け工場から脱却し、新たな活路を見いだすファクトリーブランドについて解説します。

ファクトリーブランドとは

ファクトリーブランドとは、その名の通り、縫製工場や織物工場が自ら衣料品ブランドを立ち上げるもので、2001年ころに山形県の紡績・ニットメーカー「佐藤繊維」による「M.&KYOKO」が先駆けといわれています。

工場直販で市場に出回るため価格を安く抑えられる一方で、原価率を高く設定できるため、縫製工場にとっては強みを活かせるビジネスといえます。百貨店に卸すようなブランドメーカーの原価率が2割程度のところ、ファクトリーブランドでは3~4割が可能となるため、同じ価格帯の商品でもこだわった素材を選択することができます。また、デザインの自由度も高く、工場の特性を活かした魅力的な製品づくりを行えるのが最大のメリットです。

国産衣料品は販売不振に加えて、製造工場を人件費の安い海外に移す動きに押され、厳しい経営を強いられているところが多くあります。これまでのメーカー依存型の経営から脱却し、自ら消費者を開拓する動きは、生き残りをかけた選択といえるでしょう。こういった縫製工場をサポートする動きも活発になり始め、直販スタイルで成功している工場も増えてきています。

国内外に販路を拡大する注目のブランド

ここからは、ファクトリーブランドとして成功を収めている例を紹介します。

・クスカ(京都府与謝野町)
シルクを活用したネクタイやストールを製造。日本最大級のシルク織物産地らしく、糸づくりや染めもすべてハンドメイドで行っています。一人の職人が製造できるのは、無地で1日3~4本、柄物だと2~3本のみ。高品質な高級品であり、商品の卸先はデパートのほか、ユナイテッドアローズの限定発売なども行っています。

・HITOYOSHI(熊本県人吉市)
有名ブランドのシャツを手掛けてきた技術を活かし、こだわりの高級シャツを製造。細かいステッチや片手で取れるボタンなど、着ればわかる本物の良さをふんだんに盛り込んでいます。職人を大切にしながら工場の地位を上げるとともに、後継者を育成することにも力を入れ、息の長い企業を目指しています。

・JAPAN BLUEジーンズ(岡山県倉敷市)
シルエットにこだわり、試作を50回も繰り返して完成したジーンズを製造。綿の産地にもこだわり、履きやすくソフトな履き心地を追求しています。デニムの聖地と呼ばれる地で、40年かけて培ってきた技術を活かし、世界に発信できる商品を展開。通販サイトは英語対応もしています。

国内アパレル業界の課題解決の糸口に

かつて日本の繊維産業は経済を支える重要な分野でしたが、90年代以降は厳しい状況が続いています。現在、日本で流通する衣料品の国産比率はわずか3%となり、産地は老齢化。廃業という選択を余儀なくされることも多く、事業者数は90年代に比べ4分の1に減少しました。

この状況に危機感を感じた業界は、2013年10月に日本ファッション産業協議会を設立し、日本のアパレル需要の創造と、繊維・縫製産地の活性化を目指し、「J∞QUALITY」という認証制度をスタートしています。

また、ITを活用した動きも活発化し、工場とデザイナー、アパレル会社をつなぐ「シタテル」、工場と消費者をつなぐ通販サイト「ファクトリエ」といった企業が知られるようになりました。これらの事業者は、個別の工場では実現できないレベルの情報発信をまとめて行うことを可能にし、新たな取り組みに発展させることが期待されています。そのひとつには、海外への販路拡大もあるでしょう。官民一体となって立て直しをはかる繊維業界が再び躍進する日も、そう遠くないのかもしれません。

海外にも通じる魅力的なモノづくりに注目

縮小の一途だったアパレル工場の再興には、国内市場を開拓することはもちろん、海外販路開拓も視野に入れた販売戦略が必要です。高い縫製レベルとオリジナリティで勝負するファクトリーブランドに魅力を感じる人が海外にもいることは間違いありません。消費者にとって魅力的な日本のモノづくりは、今後も注目が集まることでしょう。

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