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  3. 2018.02.14

売上低迷に悩む中小企業の事業改革に必要なことは?成功例のポイント


グローバルな競争が激しくなるなか、中小企業が成長を続けるには革新的な取り組みが欠かせない要件となってきました。これまでの実績を軸にしつつ、一方で、従来のやり方にとらわれない柔軟な発想が飛躍へとつながります。ここでは、2社の成功事例をあげながら、事業改革のポイントについて考えます。

参照:関東経済産業局「期待される中小企業モデル事例集」より
http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/humanresources/data/chusho_model_jireishu.pdf

大口受注をやめることで差別化に成功した「沢根スプリング」

静岡県浜松市にある沢根スプリングス株式会社は、昭和41年にバネメーカーとして創業。現在は2代目にあたる沢根孝佳社長が手腕を振るう、社員数52名の会社です。平成26年には、「第4回 日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の「中小企業庁長官賞」を受賞していますが、ここに至るまでにはいくつもの大きな変革を乗り越えてきました。

20年前は、主となる取引先が売上の4割を占め、不本意な値下げに応じてでも取引継続をしなければならない苦しい状況にあったといいます。工員は生産に追われ、本来のものづくりに必要な「考える力」を失っており、その弊害が業務や業績に影響していました。

そこで沢根社長は、量産リピート品を中心としていた受注生産体制を変更し、少量のスポット品受注を積極的に行うようになります。1社あたりの売上比率を1割以下にすることを指標のひとつに設定し、生産体制全体にテコ入れを実施。それまでの機械の段取りを重視する生産方式では対応できない状況をあえて作り出し、職人が自ら考え全工程を行う「職人生産方式」に移行します。

これにより、多品種でも製品完成までのスピードアップができる体制が実現しました。また、受注件数の増加に対応するためIT化を推進。インターネット受注は営業を介さず、工員が直接確認して製造する体制にすることでタイムロスをなくし、受注から2日目には発送できる「世界最速工場」をコンセプトに掲げるまでになりました。

これらの取り組みにより、取引企業数は400社に増加。平成5年には量産リピート品が売上の80%以上を占めていましたが、現在は少量スポット品が50%になっています。顧客の要望に応えられる「ばねの問題解決型企業」としての認知も広まり、リーマンショックなどの危機も売上微減にとどめながら、49年間黒字経営を継続しています。

さらに注目すべき点は、これだけの高い目標を掲げながら、社員の月間時間外労働時間は毎月6時間未満という点。「8割主義」を目指し、働きやすい環境で余裕を持って仕事をすることで新しいことに挑戦できるようにし、結果につなげているのです。これからの活躍にますます注目が集まっています。

株式会社TRINC

平成3年、ファクシミリや携帯電話の製品開発受託ビジネスを行う会社とし創業した株式会社TRINC。事業は堅調な滑り出しだったものの、バブル崩壊を機に先行きに不安を感じ、総合開発受託ビジネスへと方向転換を図ります。「専門領域にかかわらず、何でも開発します」と銘打ち、顧客のニーズに寄り添う技術開発に注力しながら、自社製品開発についても模索を開始しました。

そんな時、「静電気によるホコリ付着を防ぎたい」との要望を受け、オリジナル除電器「無漏電トリンク」を開発。社長自らが企業を回って理論と技術を説明し理解してもらう、ソリューションビジネスを展開しながら、顧客を拡大してきました。塗装業界に高いニーズがあることをとらえると、ダイレクトマーケティングで効率的な営業活動を開始します。すぐさま同業界2000社にFAXを送信して数十社の受注につなげました。ニーズに合致した高品質な製品であると同時に、業界を絞り込んだことで一気に活路が拓いていきます。

現在でも営業部門を独立させず、技術営業が販路を広めるスタイルを継続。そのため、営業活動を後押しするホームページの内容充実にも力を入れ、戦略的なWEB活用を行っています。また、目に見えない静電気の除電を分かりやすく見せられるツールを開発して技術的理論への理解を推進するなど、専門性の高い領域を分かりやすく発信する独自の営業スタイルを確立しているのも特徴のひとつです。

静電気とホコリに関する顧客の悩みに向き合い、約250種類の製品を開発したほか、約150の特許を保有する株式会社TRINCの技術は、海外でも認められつつあります。

従来の考え方にとらわれず成長の方向を見極める

厳しい環境下でも成長を続ける中小企業には、参考にしたいポイントがいくつもあります。思い切ったかじ取りをすることが、新たな価値を提供する唯一無二の企業に生まれ変わることにつながります。自社の問題点と強みを再整理し、新たな方向性を見出してはいかがでしょうか。

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Introduction

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