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  4. 2018.04.25

海外進出 はじめに知っておくべきこと(第5回)
決済の種類と輸出者側のリスク


決済の種類と輸出者側のリスク

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あなた「この度はご契約ありがとうございます!」

外国社「トコロデ、決済方法ナンダケド・・・」

あなた「今回は初めての取引なので信用状を使った取引でお願いします!」

外国社「ウーン・・・OKヨ。タダ、手数料カカッチャウノ負担ニナルカラ、取引実績ガデキタラ、今度ハD/A手形ニ変更モ検討シテクダサーイ。」

あなた「もちろんOKですよ!」

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さて、貿易実務の中でもこれからは細かなところをみていきましょう。
今回は「決済方法」のお話です。

取引契約の上で重要なのが、「決済方法」の取り決めです。
輸出者にとって、輸入者からどうやって貨物代金を回収するか頭を抱えるところです。
決済方法はいくつか種類があります。
なお、第2回目コラムでも書きましたが「信用状」も決済方法の一つです。

代金決済の方法

大きな取引に係る決済の方法は、大きく「荷為替手形による方法」と、「送金による方法」の2つに分けられます。

そして荷為替手形による方法はさらに、信用状が「ある」場合と「ない」場合に分けられます。
※ご参考までにその他の決済方法をご紹介しましょう。本支店間取引等で相互に輸出入を行う場合に帳簿上で輸出入額を相殺し、差額のみを決済する方法である「ネッティング」や、輸出地で直接買い付けをする場合に商品の引渡し時に現金で支払いする方法である「代金引換決済」、PayPalなどを利用する「オンライン決済」等もあります。

荷為替手形って?

貨物の売主である輸出者が、輸入者(または信用状で定められた者)を名宛人(手形の宛先名)とし、輸入者の取引銀行を受取人として振出した為替手形に、貨物の担保としての「船積書類」を添えたものを荷為替手形(Documentary Bill of Exchange)といいます。
※「船積書類」には、インボイス(商業送り状)、運送書類(船荷証券、航空運送状等)、保険証券、原産地証明書などがあります。
為替手形は輸出者が作成するので、請求書をイメージするとわかりやすいでしょう。これに「船積書類」がついたもの、と理解しましょう。

信用状のおさらい

信用状とは、
【輸入者の取引銀行である信用状発行銀行が、海外の輸出者に対して輸入者が信用状条件どおりの船積書類を銀行に呈示することを条件に、輸入者に代わって代金の支払いを確約した保証状】ということでしたね。

輸出者にとって代金が確約されている決済方法なので、はじめての取引や取引金額が大きい場合、信用状を使うことが望ましいでしょう。(もちろん、「振込前払い決済」や「前払いオンライン決済」という手も輸出者にとって有利に働きます。)

信用状を使わない取り立てによる決済

取引実績のある信頼できる相手だと判断する場合には、信用状を使わない決済方法に切り替えることがあります。(輸入者から見れば、信用状発行銀行に対し手間や発行手数料などの負担を軽減させられるので、信用状取引を避けたいという思いがあるからです。)取り立てには、D/P手形とD/A手形を利用します。

D/P手形とは、Documents against Paymentの略で、「手形支払書類渡し」といいます。輸入者が手形の支払いを銀行へ行うと同時に、銀行から船積書類が引き渡される形です。

D/A手形とは、Documents against Acceptanceの略で、「手形引受書類渡し」といいます。輸入者が期限付手形の引き受けると同時に、銀行から船積書類が引き渡される形です。ここで注意したいのは、輸入者はまだこの時点で支払いを済ませていないことです。
D/A手形によって先に貨物を受け取った輸入者は、支払猶予がありますので貨物を国内で取販売することができます。そこで売上を作ってから支払いに回すことができますので、輸入者にとってD/A手形が望ましいのが分かりますね。

銀行為替を利用した電信送金

銀行為替と聞くと難しい印象を持たれる方もいるのではないでしょうか。
私たちの生活でも身近にある銀行口座による振り込みをイメージしてもらえれば分かりやすいかもしれませんね。
為替とは、「現金を用いないで決済する取引方法のことです。」この決済取引では「前払い」、「後払い」により輸出者、輸入者のいずれか、リスクを背負うことになります。例えば。商品を受け取った後に送金する「後払い」方式は、輸出者がリスクを負うことになります。

いかがでしたか。
今回は「決済の種類と輸出者側のリスク」についてお話しました。
通常、輸出者にとって望ましい決済方法は
信用状決済>D/P手形>D/A手形>銀行為替による電信送金 という順に覚えておくのがいいでしょう。

決済方法は、貿易の条件の中でも大変重要です。
代金回収を確実にしてこそ、貿易取引が成功したと言えるのです!

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片山 立志/株式会社マウンハーフジャパン 代表取締役

執筆者紹介文:

1952年東京都生まれ。
東京都民銀行を経て、現在、株式会社マウンハーフジャパン代表取締役、嘉悦大学非常勤講師

主な著書、監修書:
「通関士試験合格ハンドブック」、「マンガでやさしくわかる貿易実務(輸出編)」、「マンガでやさしくわかる貿易実務(輸入編)」、「よくわかる貿易実務入門(改訂3版)」(いずれも日本能率協会マネジメントセンター 刊)、「図解 いちばんやさしく丁寧に書いた貿易実務の本」(成美堂出版 刊)、「グローバルマーケティング」、「貿易実務検定 C級合格ガイド」、「図解貿易実務入門」(税務経理協会 刊)など 多数 その他:日本貿易実務検定協会®理事長、金融法学会 会員


会社HP http://www.maunharf.co.jp/
貿易実務、マーケティングに関する教育、研修についてのご相談: info@maunharf.co.jp

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