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  3. 2018.05.16

海外進出 はじめに知っておくべきこと(第6回)
知らないと損しちゃう?!インコタームズのここだけは押さえよう!


あなた「この度はご契約ありがとうございます!」

外国社「アノ見積リデOKナンダケド、貿易条件ハCIPデイイカナ???」

あなた「え、貿易条件ですか?」

あなた「シ・・・シーアイーピー・・・(何の略だろ…まぁいいや!)OKOK!」

(数週間後)

あなた「えっ!?相手国までの輸送費や保険代もうちが負担するの!!」



第3回目のコラムに書きましたが
輸入者との契約時にはしっかりとした「決め事」が必要です。
その中でも貿易条件、すなわちインコタームズは、欠かすことができません。

インコタームズを知らなければ貿易実務を語れません!
この機会にぜひインコタームズの役割を押さえておきましょう。

①インコタームズって?

例えば、日本から精密機械を、1,000,000円/1台 の契約でオーストラリアに輸出したとしましょう。

この契約で結ばれた価格の構成が問題になります。
つまりこの価格には、例えば、日本からオーストラリアまでの運送費用が含まれているのかどうかなど、はっきりさせておく必要があります。
つまり、日本の工場で引き渡して1,000,000円なのか、はたまたオーストラリアの買主の倉庫まで輸出者が運び、引き渡した場合の価格が1,000,000円なのか、ということが問題になるわけです。

海上輸送につきものの危険をカバーするため、貨物に保険を掛けなければなりませんが、この保険はどちらが掛け、保険料はどちらが負担するのかも問題となります。
(これら運賃や保険料等をどちらが負担するのかを「費用負担の問題」といいます。)

また、例えば船が輸送途中に大しけに遭い沈没してしまったとしましょう。

この場合、輸出者は同じ商品を再度用意して送り直さなければならないのか、言い換えると輸入者は輸出者対して再度出荷することを要求できるのか?という問題です。
(このような種類の問題を「危険負担の問題)といいます。)

これらのことは売主と買主が売買契約締結に際して取り決めておくべきことなのですが、取り決める事項が多かったり、内容が複雑であったりで、相互に共通の理解を持つことが難しく、往々にして思い込みや誤解に基づくトラブルが起こりがちです。
特に国際間では、それぞれの国の商慣習、文化が異なり、さらにその危険は増します。
そこで、古くから引き継がれた経験の上にインコタームズという仕組みができたのです。

インコタームズとは、InternationalのIn、CommercialのCo、それに条件を意味するTermsを組み合わせた造語です。貿易条件の国際ルールとして統一解釈を行うことで、貿易取引上の紛争や摩擦を避けることを目的に国際商業会議所(ICC)によって定められました。およそ10年に一度、その時代の要求に合わせ修正、改正、追加等が行われています。現在は、2010年版が最新のものです。

ところで、実は、インコタームズは条約でも法律でもないので、取引条件として採用するかどうかは、当事者の自由なのです。
使わなくてもいいのですが、お互いの共通認識として便利なものなので、実務上では活用されています。なぜなら、たった3つの略語で、輸出入者の費用負担や危険負担が明確に示されるからです。

②代表的なインコタームズ

代表的なインコタームズは、主にFOB、CIFが使われています。
ただし、「コンテナ船」での輸送の際は「FOB、CIF」ではなく、代わりに「FCA、CIP」と使い分けられます。

なぜ使い分けが必要なのでしょうか?
それでは簡単にポイントを押さえましょう。


【在来船の場合】
(1)FOB(本船渡条件)
危険負担:貨物が買主によって指定された本船の船上に置かれたとき
費用負担:貨物が買主によって指定された本船の船上に置かれたときまでが売主負担


(2)CIF(運賃・保険料込条件)
危険負担:貨物が買主によって指定された本船の船上に置かれたとき
費用負担:輸入港までの運賃および保険料を売主負担

注意したいのは、危険負担は、FOBもCIFも同じです。でも、費用負担は、異なります。

【コンテナ船の場合】
(1)FCA(運送人渡条件)
危険負担:輸出地において、買主の指定した運送人に引き渡された時点
費用負担:輸出地において、買主の指定した運送人に引き渡すまでが売主負担

(2)CIP(輸送費・保険料込条件)
危険負担:輸出地において、売主によって指名された運送人に引き渡された時点
費用負担:輸入地までの輸送費および保険料を含み売主が負担

出典:最新貿易実務ベーシックマニュアル改訂2版(MHJ出版)

違いが分かりましたか?

「運送人に貨物を引渡す」とは具体的に、コンテナ船による貨物をコンテナ・ターミナルのCYやCFSで引渡した場合や、航空貨物を航空会社又は代理店に引渡した場合、あるいは複合一貫輸送で貨物を複合運送人に引渡した場合等が該当します。
コンテナ船の場合は、売主の費用負担をこの時点までとしたほうが、リスクが軽減されるのはお分かりですね!

もっとも、売手(輸出者)が負担した諸費用は、最後は、買手(輸入者)に請求が回り、決済するということになるのです。
CIFというと売手が運賃も負担するものなので、買手にとって得と思うかもしれませんが、いずれその分の請求書が売手から買手に回ってくるのです。

いかがでしたか。
今回は「インコタームズ」についてお話しました。

貿易取引を円滑に進めるためにも、しっかりとインコタームズを理解しましょう。
そして、「コンテナ船」、「在来船」に適したインコタームズを使用するようにしましょう。

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片山 立志/株式会社マウンハーフジャパン 代表取締役

執筆者紹介文:

1952年東京都生まれ。
東京都民銀行を経て、現在、株式会社マウンハーフジャパン代表取締役、嘉悦大学非常勤講師

主な著書、監修書:
「通関士試験合格ハンドブック」、「マンガでやさしくわかる貿易実務(輸出編)」、「マンガでやさしくわかる貿易実務(輸入編)」、「よくわかる貿易実務入門(改訂3版)」(いずれも日本能率協会マネジメントセンター 刊)、「図解 いちばんやさしく丁寧に書いた貿易実務の本」(成美堂出版 刊)、「グローバルマーケティング」、「貿易実務検定 C級合格ガイド」、「図解貿易実務入門」(税務経理協会 刊)など 多数 その他:日本貿易実務検定協会®理事長、金融法学会 会員


会社HP http://www.maunharf.co.jp/
貿易実務、マーケティングに関する教育、研修についてのご相談: info@maunharf.co.jp

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