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  3. 2018.05.23

中小企業のための、お金をかけないブランディングの極意(第4回)
中小企業が行うべき、3つのブランド戦略


ブランドの差別化に成功したら、次は製品やサービスを継続してお客さんに買ってもらわなくてはなりません。しかも値引きなしで!

そのためには、ブランドの価値をアップする必要があります。お客さんが製品やサービスの価値を認めてくれるからこそ、価格競争に巻き込まれずに十分な利益を得ることができるからです。

儲けること。それこそがブランディングの究極の目的です。

(1) 数量限定

ブランディングに成功している会社が共通して実行していることがあります。
それは、売れるからと言って、どんどん作らないことです。

エルメスのバーキンやポルシェ911と言った海外の著名ブランドは、注文してから手元に届くまでに、1年以上待たされることがざらにあります。それは彼らが基本的に受注生産で在庫を持たないからです。
そのような著名ブランドでなくても、数量を限定しているところは少なくありません。

たとえば、我が家の近くにあるトンカツ屋さんは、ネタがなくなると午後7時過ぎでもさっさと閉めてしまいます。同様な経営をしているお菓子屋さん、蕎麦屋さん、パン屋さんも多いです。

そのようなお店の価格はかなり高めですが、つねにお客さんが入り口に並んでいます。だって品切れになったら食べられませんから。

下請けの部品メーカーでも、特色のある製品を製造しているメーカーは、自然に大手メーカーや海外から注文が入るようになりますが、自分たちのキャパ以上の仕事は受けません。
それが値引きをせずに売るコツだと心得ているからです。

(2) 地域限定

インターネット通販で何でも手に入る時代になりましたね。
しかし現地に行って買いたい、と言う品物も数多あります。

気軽にコーヒーを飲むならコンビニでも買えます。ゆっくり楽しむなら、ドトールやスターバックスに代表されるチェーン店を想像しがちですが、街の小さな喫茶店でも、いつも混んでいるお店も少なくありません。それはこだわりのコーヒーと独特の雰囲気がお客さんを引きつけるからです。

普通の野菜ならスーバーマーケットで買うでしょうが、高くでも無農薬野菜をわざわざ足を伸ばして小さなお店に買いに行ったり、酒蔵を訪問してお酒を購入する消費者も増えています。

一見不便なように見えて、わざわざその場所まで行く行為そのものが、楽しみになるのです。正にモノとコト消費の同居です。

日本全国に素晴らしい技術を持った製造業がありますが、無闇な拡大や増産をしないからこそ、返って県外や外国からバイヤーが訪れるのです。

(3) お客さんを選ぶ

今まで日本企業は製品やサービスに付加価値を付けるために、血の滲むような努力をしてきました。

たとえば同じ車でも、様々な機能を付ける。小売店では営業時間を長くして顧客の利便性を高めたり、ギフト包装を無料で提供したり、通販会社では無料配送を実施したり、製品やサービスを購入したお客さんに様々な特典やオマケを提供してきました。

その結果、確かにお客さんにとっては便利で豊かな消費が実現しましたが、果たしてブランドの真の価値や企業の利益率はアップしたのでしょうか?

一方、京都の老舗旅館や料亭は、紹介がないと一見さんはおいそれと泊まったり、食事を楽しむことができません。それは銀座のバーでも同様かもしれません。
それは、彼ら彼女たちがお客さんを見定めて、相応しいお客さんだけに来てもらう、と言うポリシーを貫いているからです。

ですから中小企業で利益を上げていくためには、あなたの会社の製品やサービスの価値を認めて、お金を出してくれるお客さんを選ばなければならないのです。

大企業がお客さんから選ばれなければやっていけないのとは逆に、中小企業ではお客さんを選ばなければブランディングができないのです。

「ありがとう」をお客さんから言ってもらう

「ありがとう」の語源は「有ることが、難い」です。中小企業のブランディングでは、買ったお客さんから「ありがとう」と言って頂けるようにしたいものです。希少性は中小企業のブランディングの根幹と言えます。

大企業の場合は、価格を抑えてもマーケットシェアを拡大することにより、安定した売上を上げていくことが求められますが、中小企業の場合は、一つ一つの製品やサービスで十分な利益を確保することが経営上最重要課題となります。

そこで今まで述べてきたように、数量を限定すること、販売ルートを絞ること、価値を理解してくれるお客さんだけに売ることで、計画通りの利益を確保していくことを考えて頂きたいと思います。


4回にわたりお付き合い頂き、ありがとうございました。
みなさまのご発展を心よりお祈りいたします。

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高橋 克典/TERRANOS (テラノス) 代表

執筆者紹介文:

中小企業の売上・利益アップを、ブランディングを駆使して達成することを専門としたビジネスコンサルタント。 SBAコンサルティンググループ(フランス系コンサルティング会社)のシニアコンサルタントを務めた後、
株式会社シャルル・ジョルダン(パリCharles Jourdan社の100%子会社)の代表取締役社長兼アジア地域統括マネージャーに就任。
その後住商オットー株式会社(ドイツOtto社と住友商事の合弁企業)の取締役副社長、
株式会社カッシーナイクスシー(イタリア高級家具メーカーの日本法人)の代表取締役社長、
ヴェーエムエフジャパン コンシューマーグッズ株式会社(ドイツ最大手調理器具メーカーの日本法人)代表取締役社長を歴任。2015年8月に自身のコンサルティングファームを設立。
現在、企業アドバイザー、農林水産省(国産花き新需要創出委員会)委員、大学・企業等全国で講演/研修活動、また著述活動を行っている。

主な著書、監修書:
・ 『パリの裏通り』KKベストセラーズ(2001年)
・ 『パリジェンヌのおしゃれレッスン』ダイヤモンド社(2004年)
・ 『ブランドビジネス』中公ラクレ(2007年)
・ 『カッシーナスタイル』ダイヤモンド社(2009年)
・ 『海外VIP1000人を感動させた外資系企業社長の「おもてなし」術』
   ~これは役に立つ! 外国人接待が面白くなる54のコツ海外VIP~
   ダイヤモンド社(2016年3月)
・ 『小さな会社のはじめてのブランドの教科書』ダイヤモンド社(2017年1月)

問い合わせ先:
Email : kats@terranos.jp
Mobile : 090-3205-1069
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