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  4. 2018.05.28

インバウンド対応で日本の宿泊文化が変わる?ホテル・旅館の進化系サービスとは


インバウンドの増加にともない、国内のホテル・旅館のサービスにも大きな変化が見られます。これまでよりも一手二手進んだ積極的な「おもてなし」サービスが訪日外国人に利便性をもたらし、新しい日本の旅を印象づけます。外国人観光客に喜ばれている、進化系サービスを紹介していきましょう。

無料レンタルスマートフォンを客室アメニティに装備するホテル

handy Japan 株式会社では主要ホテルと提携し、宿泊客向けの無料レンタルスマホ「handy」を提供しています。すでに日本のホテル総客室数の約4分の1を超える23万台の契約があり、さらに利用の拡大が見込まれています。

ウェスティン都ホテル京都でも客室アメニティとして全室に「handy」の導入を開始し、日本に不慣れな訪日外国人の案内サービス充実化を図っています。

「handy」は日本国内はもちろん、海外6カ国への通話やインターネットアクセスが無料で利用できます。アプリのダウンロードが自由にできるので、自国で利用しているSNSへのアクセスも可能です。

観光地や訪問先の情報収集やマップ機能が使えるので、初めての訪日外国人の旅にはおおいに役立ちそうです。さらに緊急時のメッセージ受信、ホテルへの連絡もワンタッチでできて安心です。

ローミングサービスへの手続きを必要とせず、料金負担もなく利用できる無料レンタルスマホは、海外からのお客への心遣いに満ちたサービスとして受け止められています。

スマートスピーカー導入で快適環境を提供する進化系ホステル

宿泊する部屋自体をエンターテインメント空間として提供しているのが、IoT体験型宿泊施設のスマートホステルブランド「&AND HOSTEL」です。現在5店舗で展開を図るこの宿泊施設の特徴は、近未来のIoT空間体験とホステル特有の宿泊者同士のコミュニケーションにあります。

チェックイン時に渡されるのは、鍵代わりのスマートフォンです。これによりドアキーの開錠施錠や、部屋の中の家電製品の操作が可能となります。さらに、各室内ではスマートスピーカーが「外出」「リラックス」「集中」「おはよう」「おやすみ」「シアター」の6シーンごとの声かけに応じ、照明やアロマ、カーテンの開閉、気温・湿度の設定を自動で行います。

ホステルの施設や備品についての質問や、天気情報・防災情報などについてもスマートスピーカーが回答してくれます。ラウンジの様子をリアルタイムで伝えてくれるので、他の宿泊客とコンタクトする機会を逃しません。

AIが実現する未来空間と旅行者同士のふれあいが同時に得られるという、これまでにない宿泊体験が人気を博し、世界中の旅行者から視線が注がれています。好調な予約状況を踏まえて、「&AND HOSTEL」では、2018年中にさらに5店舗の開業を予定しています。

AI導入で外国人向けのおもてなしをする老舗旅館

創業63年の箱根湯本にある「ホテルおかだ」が取り組んだのは、自社サイトのFAQへのAI導入です。「よくある質問」を掲載するサイトは多く見られますが、「ホテルおかだ」では宿泊客の質問の予測と回答検索の最適化にAI機能を搭載したサービスを導入しました。さらにWebセルフサービス機能が、サイト訪問者の疑問を素早く解決できるように導くなど、より利便性を高めています。

「ホテルおかだ」のサイトではサイト訪問者のページ滞在時間に合わせ、「こんなことにお困りではございませんか」との問いかけが自動表示されます。表示される内容は過去のアンケート結果から蓄積されたデータが元になっており、潜在する予約客の疑問を先回りして解決するシステムです。

「ホテルおかだ」では以前からサイトが閲覧される時間と、電話対応可能な時間とのズレに気づいていたといいます。サイト訪問者の疑問をその場で解決することを目的としたAIの導入後、5カ月で予約が10~15%増加し、その効果が実証されています。

箱根・塔ノ沢の「一の湯」もまたAIの導入で予約増加に成功した、創業380年の歴史を持つ老舗旅館です。FAQの検索から掘り起こされたキーワードによって、隠れたニーズに対応することが可能となり、サービスの向上と旅館としての強みを獲得しています。

たとえば、館内ではほとんど聞かれることがなかった「タトゥー」というキーワードの出現率がFAQ検索の2割に及んだことから、露店風呂付の部屋の案内を積極的に行ったり、「コーヒー」に対するニーズの高さからオリジナルコーヒーの開発を行ったりと活用の幅を広げています。

その他にも「パーキング」「ベジタリアン」「車椅子」といった検索キーワードから、これまでは表面化しづらかったニーズに対しての、さまざまな施策を打ち出せるようになりました。

日本の「おもてなし」の進化に期待

日本の文化や古き良き伝統を守る一方で、海外からの旅行客をいかにもてなせるかがインバウンド対応の大きな鍵を握ります。2020年に向け、さらなるインバウンドの増加が見込まれる中、ニーズをくみ取ったサービスの進化から今後も目が離せません。

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