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  3. 2017.09.06

海外の販売パートナーには2種類あることを知っておこう


日本で商品の中間流通を担う業者は「代理店」「問屋」「商社」「卸」などの名前で呼ばれていますが、それぞれ明確な区別はされていません。

一方、海外ではこれらは「ディストリビューター」と「セールスレップ」という2種類の名前が使われており、両者の間には明確な役割の違いがあり、それぞれ扱う商材にも向き不向きがあります。
海外進出パートナーを探す際にはこの違いを認識して、自社の商品に合った現地パートナーを選定しなければなりません。

ディストリビューターとセールスレップの違いとは?

ディストリビューターとセールスレップの違いは、売る商品の所有権を持つか持たないかにあります。
ディストリビューターは所有権を持つのに対して、セールスレップは所有権を持ちません。

ディストリビューターの役割は「仕入れて、売る」ことであり、日本では卸売業者や問屋と言われる業種のイメージです。

具体的には、メーカーがディストリビューターに対して商品を販売し、その代金を回収した時点でメーカーにとっての取引は終了します。その後、ディストリビューターはユーザーに商品を販売しますが、誰にいくらで売ったのかについてメーカーは関知しません。
メーカーから仕入れた(購入した)時点で商品の所有権が移っているため、それにどんな値付けをして売ろうと基本的にディストリビューター側の自由であり、その仕入れと販売の間の値ザヤがディストリビューターの売上になります。
在庫を持つため資金力の裏付けが必要なことから、セールスレップに比べて規模の大きな会社が多い傾向があります。


一方、セールスレップは商品を購入しません。

セールスレップの仕事はユーザーへの販売活動及び注文の取り次ぎまでで、商品及び代金の授受はユーザーとメーカーの間で直接行われます。
後にメーカーからもらう販売代理の成功報酬がセールスレップの売上となります。日本では「代理店」と呼ばれる業種の一部にこのタイプの販売代行/支援業者が見られます。
資金力を必要としないため個人で起業することも可能で小規模企業が多いですが、本来ディストリビューター事業をしている会社が新しい商材についてテスト販売をする場合など、在庫リスクを避けるためにセールスレップ契約で扱うケースもあります。

ディストリビューターを使うメリット/デメリットは? 

「ディストリビューター」のもともとの意味は「多くのものを小分けして分配すること」であり、「多く安く仕入れて高く売る」タイプのビジネスモデルです。
在庫を持つことから、エンドユーザーごとの調整が必要ないか、あるいは軽微で済む標準品の販売に向いています。

メーカーにとっては一度に大量購入してくれてその時点で売上が立つため資金回収が早くなるというメリットがあります。また、企業規模が大きいことから広い範囲に販売可能なケースが多く、一気に販路を拡大できる可能性があるのもメリットです。

しかしその裏返しのデメリットとして、企業規模の大きさは同時に意思決定の遅さにつながる場合がありますし、在庫を持って売れ残るリスクを避けようと取引に後ろ向きになる場合もあります。

メリットは同時にデメリットでもあると考えなければなりません。

また、価格決定権が基本的にディストリビューター側に渡るため、ブランド政策上、価格コントロールをしたいような場合は別途ディストリビューターと取り決めを結ぶ必要がありますが、その際は独占禁止法等に抵触しないような配慮が求められます。

さらに、ディストリビューターは独占販売権を求める場合もありますが、その実際の目的は既存の取扱商品の競合を増やさないことで、販売努力をせずに独占販売権を塩漬けにするような事例も見られるため、その真意には注意が必要です。

セールスレップを使うメリット/デメリットは?

標準品の大量販売に向くディストリビューターに対して、セールスレップは専門的な商品、特注品、希少品を扱うのに向いている傾向があります。
典型的なのが医療機器業界で、たとえばある会社が新型の画期的な医療機器を開発したとして、それに興味を持つのはその機器が対象とする疾病を専門に治療している医師/病院であり、1年や2年でころころ変わることはありません。
有能なセールスレップはこのような市場開拓を求められるとたちどころに見込み客をリストアップし、「A大学であれば来年度の予算で買ってくれるだろう」などと業界の内情も踏まえて優先順位をつけ、アポ取りをして営業に出向くといったスタイルで仕事をします。

このような活動をするためには特定の業界に特化して関係者に人脈を作っておく必要があるため、中小メーカーが海外進出をする場合に自力でイチからその調査をし、関係構築をするのは現実的とは言えません。
相手国の対象業界でセールスレップ活動をしている会社/個人を見つけてパートナー契約を結び、販売代行を委託するのが適しています。

セールスレップを使う場合、価格のコントロール権を持つことができます。
また、販売取引はユーザーと直接行うため、ユーザー名簿を入手することができ、一度取引ができたユーザーに対してその後の営業活動は直接行うことができます。
在庫を持たないためハードルが低く、ディストリビューターが見つからない地域・国でも見つけやすいこと、テスト販売などの小規模なマーケティングが可能なこともメリットです。
また、専門知識を持ったセールスレップが販売に当たり、商品はメーカーから直接出荷されるため、顧客ごとにある程度のカスタマイズが必要な商品も扱うことができます。

一方、ユーザーに対して直接販売するため、個別に与信や支払条件の交渉をしなければならない場合があり、代金回収についてはディストリビューターよりも手間がかかることはデメリットと言えます。
また、小規模な会社や個人が多いため、一気に販路を拡大するのには向いていません。

まとめ

ディストリビューターとセールスレップはもともとアメリカで生まれた概念ですが、海外では一般的な分類です。

どちらのタイプの販売パートナーを使うかによって販売戦略が大きく変わってしまうため、自社商品の特徴や進出目的、いつまでにどのレベルの成果を挙げたいかという目標設定に応じて、使い方を十分に考えなければなりません。

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