1. ニーズ発掘
  2. 2019.05.10

事例から学ぶ! 製造業の商品開発に役立つニーズ把握の手法とは


製造業が新しい製品を開発する際は顧客のニーズ把握をすることが欠かせません。
どれだけ斬新なアイデアを製品化したとしても、顧客ニーズに応じたものでなければ市場から求められない製品となってしまうリスクがあるからです。

その一方でユーザーとのコミュニケーションなどニーズ把握を重視している製造業の企業には、商品開発に成功しているケースが少なくありません。

顧客ニーズ把握は、新商品開発には欠かせないプロセスの一つでもあるのです。

では製造業のニーズ把握には具体的にどのような手法があるのでしょうか。
本記事では製造業のいくつかの事例を参考にしながら、商品開発に有用なニーズ把握の手法について紹介していきます。

ユーザー向けのセミナーで顧客の要望を把握する

ユーザー向けのセミナーを開催することは、有用なニーズ把握の手法の一つです。
直接顧客と会うことで、限りなく本音に近いリアルな要望や意見を知ることができるからです。

そして製品の使い方のセミナーや説明会を定期的に開催すれば、顧客により深く自社の製品を理解してもらうことができるため、顧客のファン化も期待できます。
では製造業の企業ではどのようにユーザー向けのセミナー開催が実施されているのか、その事例を見ていきましょう。

【事例1】レシピを交えたセミナーで顧客ニーズを掴む

愛知県にある厨房機器メーカーK社では、年間100回もの自社製品に関するセミナーを開催し、顧客のニーズ把握に取り組んでいます。

開催されるセミナーの内容は、一般的な自社製品の特徴や機能を説明するものだけではありません。
自社製品であるスチコンを使った肉じゃが・卵焼きの作り方などレシピを作成し、自社製品の具体的な使い方を主な内容とした料理教室のようなセミナーも開催しています。

参加費は無料もしくは500円など、食材を利用するセミナーでも参加しやすい価格が設定されています。
これらのセミナーは調理器具の調達を検討している企業の担当者だけでなく、調理業務の従事者も参加することができます。

またイベント申込のメールフォームでは、自社が発行するメルマガに自動登録する仕組みを整えています。
申込時点で質問も受け付けているため、イベントに参加する企業の担当者のニーズがくみ取りやすい仕組みができているともいえるでしょう。

そして調理が含まれたセミナーは参加者がただ座って話を聞くだけでなく、エプロンを着用して実際の機器を使う時間も含まれています。
質疑応答はもちろん、セミナー担当者と参加者のコミュニケーションが生まれやすいセミナーを開催することで、セミナー担当者は顧客の情報や要望を把握しています。

さらにセミナーによって得た顧客の要望や情報はセミナーに出席した担当者だけに留めず、合同研修会を開催して、社内の技術担当とも共有しています。
同社では定期的に社内の技術者とセミナー業務の担当者が情報共有する機会をつくることで、把握した顧客ニーズを技術改良や商品開発に活かしています。
 

アフターサービスにおける顧客との接点を大切にして顧客ニーズを掴む

メンテナンスが必要なプリンターや包装機など機器を販売する際は、アフターサービスの業務を通して顧客ニーズを掴むことができます。

アフターサービスでも顧客との接点を大切にすれば、顧客の意見を聞く機会が自ずと増えていくからです。
例えばメンテナンスなどアフターサービスを依頼された際に、ただメンテナンスを提供するだけでは顧客の意見は聞くことができません。

しかしアフターサービスの提供に合わせて、顧客が意見を言いやすい仕組みを作ることができれば、顧客ニーズは掴みやすくなります。
具体的な手法としては、以下のようなものがあります。

アフターサービスの提供の度に満足度調査のアンケートを配布する

定期的に満足度調査やアンケートのメールを送る

意見があれば何でも言ってもらいたいと伝えておき、アフターサービスを通して顧客企業の担当者と普段からコミュニケーションをとっておく

アフターサービスから顧客の意見や要望を集約することができれば、今後の製品開発やアフターサービスに活かすことができます。

例えばアフターサービスを通して、顧客が「修理の際に機械を送付する配送料が高い」と考えていることが分かったとしましょう。
上記意見を参考に考えるべきことは、「どうすれば配送料を安くできるのか?」です。
故障しやすい箇所だけ取り外せるような設計にすれば、顧客ニーズに応える形で製品が開発できます。
故障しやすい箇所を取り外すことができれば、修理の際に機械をまるごと送付する必要がなくなり配送料を下げることができるからです。

上記は一例ですが、顧客の意見や考えを取り入れてアフターサービスや製品開発に活かすことは、長期的に顧客の満足度を高め信頼を獲得できる可能性があります。
アフターサービスはただ提供するだけで、顧客ニーズを掴めるわけではありません。
どうすれば顧客の意見を引き出すことができるかを意識した、アフターサービスの提供が必要になるといえるでしょう。

【事例2】機械の販売先を生涯顧客と捉えてアフターサービスを提供する

D社は書籍にビニールカバーをかける包装機の開発メーカーであり、書店の市場のシェアの9割を誇っています。
そんなD社は機械の販売である書店を生涯顧客と捉えてアフターサービスに注力しています。

具体的なアフターサービスの内容は以下の通りです。

修理が発生した際の宅配便の送料無料

書店の新規開店時には包装業務のサポートを無償で提供

包装用ビニールが劣化した際の無料交換

上記はアフターサービスの一例ですが、このようなアフターサービスの内容は顧客ニーズを把握した上で決定されています。

またD社は顧客ニーズを把握するための取り組みとして、以下の取組を実施しています。

社長が必ず目を通すことを伝えた上で、書店向けに「何でも一言『社長』直球便」というアンケートを郵送

苦情や意見を受け付けたアンケートの回答を個々の企業に対して実施

D社では社長自らがアンケートに目を通して回答を行っており、社内では「情報は社内にはない」という呼びかけをすることで、顧客との接点を大切にする社員の教育にも取り組んでいます。

顧客ニーズを掴むためにサポートを通して顧客との関係性を強化する

販売とは直接関係しなかったとしても、サポートに注力することは顧客のニーズ把握をする有用な施策の一つです。
例えば健康器具の製造・販売をしている企業の場合、顧客は健康に関する情報に強い関心があることが予想できます。

顧客サポートとして健康に関する冊子の配布やメール健康に関する情報を発信すれば、満足度が高くなるだけでなくアンケートを実施する機会を増やすことができます。

また顧客サポートとして健康器具の相談会などリアルに顧客と対話する機会をつくれば、対話による顧客のニーズ把握も期待できます。

【事例3】個々の企業に合わせたサポートで信頼を獲得して顧客ニーズを把握する

環境に配慮した石鹸や洗剤を製造販売しているS社では、衛生管理をテーマとした顧客サポートに取り組んでいます。
具体的な取組としては、衛生講習会の開催と顧客企業に合わせた衛生管理マニュアルの提供があります。

衛生管理マニュアルの提供は、完成された一つのマニュアルを顧客企業に配布するわけではありません。
S社では取り扱う食品や工場の規模など顧客企業に合わせた内容で、衛生管理マニュアルを作成しています。
また食品衛生インストラクターの資格を持っている社員が、顧客企業で衛生診断を行うなど丁寧な衛生管理のサポートを実現しています。

研修会では座学だけでなく実技指導も取り入れることで、顧客企業の従業員教育にも貢献しています。
このような取組の結果としてS社は顧客との密な対話が可能となり、顧客ニーズの把握に成功しています。

顧客企業の特徴に合わせたサポートを提供することは、顧客との関係強化だけでなく商品開発にも有用な施策となります。

まとめ

製造業がニーズ把握に取り組むなら、顧客と向き合う機会をつくることが欠かせません。
そしてアフターサポートなど日常的に顧客と接する機会がある場合、顧客の意見を聞く仕組みをつくることも重要なポイントです。

また把握したニーズを活用するためには、開発部門の社員とどのように共有するのか、その手段考えておかなければいけません。
顧客ニーズは把握することが目的ではなく、把握した顧客ニーズを開発やサービスに活かすために実施すべき取組でもあるからです。

これから商品開発の一環としてニーズ把握に取り組むなら、既に上手くいっている企業の事例を参考にすることも大切です。

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