1. 経営全般
  2. 2019.06.07

中小企業こそSDGsに取り組むべき理由~「三方よし」の実現に向けて


「SDGs」という言葉を耳にしたことはありますか?SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)とは、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに「持続可能な社会をつくる」ために、世界で取り組むべき行動を示した17つの目標です。

しかし、この「SDGs」の認知度は未だ高いとはいえません。SDGsの和訳である「持続可能な社会」とは、そもそもどのような社会なのでしょうか?「SDGs」がなぜビジネスと結びついているのでしょうか?本稿では、SDGsが中小企業の事業を発展させるカギとなる理由について解説します。

SDGsとは何か

(1)地球全体の持続的な成長に向けた、世界規模の目標

現在の経済環境は、国を超えたビジネスが盛んになる一方で、成長から取り残された地域では貧困や経済的格差の問題を抱えています。これは海外だけの話題ではなく、日本でも、国内での相対的な経済的格差について話題になることが多くなりました。これらの課題を解決することなしに、地球全体の成長は実現できない、という認識からSDGsは成り立っています。

あわせて、地球環境の課題があります。産業革命以降、人類は地球の資源を使いながら経済成長を遂げて来ました。しかし、地球の資源には限りがあります。成長を今後も続けるには、環境問題への対応は避けられないのです。

したがってSDGsの目標の多くは、地球環境と関わりがあるものが設定されています。例えば、6番目の「安全な水とトイレを世界中に」や13番目の「気候変動に具体的な対策を」などが挙げられます。

このようにSDGsは、美しい地球を私達の子孫につなぎ、持続可能な成長を地球全体で遂げるための目標なのです。

出典:外務省ホームページ(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/

(2)日本国内の認知度は16.0%

しかし、日本国内におけるSDGsの認知度は高くありません。
株式会社電通が2019年4月に発表した「第2回『SDGsに関する生活者調査』」 において、SDGsの認知度は16.0%でした。

2018年12月に関東経済産業局が発表した「中小企業の SDGs 認知度・実態等調査」 においても、「SDGsについて全く知らない(今回の調査で初めて認識)」と回答した企業が84.2%、逆を返せば中小企業の認知度は15.8%です。

これらを受け、政府や地方自治体は今、SDGs認知度向上に力をいれています。
例えば、SDGs達成に向けた優れた取り組みをしている企業・団体等を表彰する「ジャパンSDGsアワード」があります。2018年12月に発表された第2回では、SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞に、神奈川県の中小企業である株式会社日本フードエコロジーセンターが選ばれました 。

中小企業のSDGsに対する取り組みが多くないことを課題としている三井住友銀行では、東京都の中小企業制度融資を活用した『三井住友銀行 経営基盤強化「SDGs経営計画作成支援」』 という商品で、中小企業が経営計画にSDGsを取り入れる支援をしています。

CSRとの違い~ビジネスチャンスを見極める指針

(1)本業との相関性が薄いこともあるCSR

SDGsに対し、中小企業の経営者が浮かぶ疑問は「CSRと違いがあるのか」という点ではないでしょうか。
CSR(Corporate Social Responsibility)は「企業の社会的責任」と訳され、企業が事業活動を通じ、社会に貢献することを指します。しかし、今までのCSRは慈善活動が中心となり、本業との相関性は必ずしも高いものではありませんでした。

(2)SDGsはビジネスチャンスの宝庫

一方、企業戦略論で名高いマイケル・ポーター教授は、2011年に「CSV(Creating Shared Value:共通価値の想像)」を発表しました。これは、社会が抱える課題やニーズを解決することで、同時にビジネスとしての価値もつくることを目指すアプローチです。この流れがあったことで、2015年9月の国連サミットで採択されたSDGsが、欧米においてはビジネスと結び付けられて考えられるようになりました。

SDGsは、世界全体で解決に取り組むべき社会的な課題です。つまり、世界のビジネスチャンスがそこに詰まっているのです。

例えば、12番目の目標である「つくる責任つかう責任」の中では、より細かい目標(ターゲット)として「2030年までにひとりあたりの食品廃棄率を半減させる」という点が示されています。食品廃棄率を下げるには、今までのような廃棄ロスを前提とした大量生産はできないかもしれません。

しかし、それを解決できるビジネスモデルをいち早く構築できた企業は、これからのマーケットをリードし、先駆者として持続的な成長を得ることができます。

中小企業の経営資源は限られています。しかし、限られているからこそ経営資源を注力し、スピード感のある経営ができることが強みです。中小企業こそ、SDGsで示された社会的課題をいち早くビジネスチャンスと捉え、市場をリードすることを目指す必要があるでしょう。

SDGsを取り入れていない企業とは取引しない!?

では、SDGsに取り組まない中小企業は、今後どうなるのでしょうか。

BtoBの観点で考えると、SDGsを経営に取り入れていない企業とは取引をしない、と打ち出す企業が増えることが考えられます。取引基準の中にSDGsの観点をいれ、その基準を下回る企業とは取引しない、という企業も出てきています。

SDGsでは、8番目の目標である「はたらきがいも経済成長も」を始めとして、サプライチェーン上で起こる人権侵害や環境問題が目標に定められています。取引先を選定する際に、SDGsが経営に取り入れられているかが重視されるでしょう。

つまり、経営にSDGsを取り入れないことは、今後リスクになる可能性があるのです。

SDGsの実践に向けて~経営資源の洗い出しからスタート

SDGsについて何から始めればよいのか分からない中小企業も多いのではないでしょうか。
まずはできることから、最初の一歩を踏み出してみることが重要です。

(1)環境省『持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド』

日本国内の中小企業に向けた具体的な指針としては、環境省が発行している『持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド』 があります。

本冊子は、経営資源が限られる中小企業をターゲットに作成されたものです。すでに経営計画にSDGsを取り組んでいる先例企業の事例など、SDGsを経営に取り入れるステップに基づいて具体的に解説されています。まずはこの1冊を読み、SDGsに対する理解を深めましょう。

(2)経営資源の洗い出しからスタート

SDGsへの理解を深めたら、次の段階として「経営資源の洗い出し」からスタートしてみましょう。自社の経営資源について、SDGsの観点を取り入れることにより強化すべきところ、逆に補完すべきものがないか検討します。
特に、ものづくり企業にとって、サプライチェーン上にSDGsの観点から生まれるリスクがないか、という視点は重要です。

これらの取り組みによって、自社の強み・弱みを見極めることにつながり、企業の経営資源を強固なものにしていくことができます。SDGsの知見を持つ中小企業診断士など、専門家とともに進めれば、より客観的な視点が得られるでしょう。

SDGsは日本の「三方よし」と通じる

SDGsは、これからの中小企業の成長に不可欠である点がご理解いただけたでしょうか。

日本には「三方よし」に代表されるように、企業活動を通じて社会に貢献するという考え方が根付いています。つまり、日本の企業マインドにSDGsはマッチした指針なのです。

したがって、日本企業の9割近くを占める中小企業こそ、SDGsを取り入れ経済をリードすべきでしょう。
美しい地球を次世代につなげるために、SDGsを積極的に経営計画に取り入れ、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいきましょう。

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米澤 智子/株式会社プロデューサー・ハウス

執筆者紹介文:

株式会社プロデューサー・ハウス ライター、コンサルタント
1985年生まれ、神奈川県出身。

2009年地方銀行入行、債権管理および中小企業融資業務に従事した後、
総務部門で銀行全体の通信設備管理や株主総会運営に携わる。

2016年中小企業診断士登録。

2017年より公的機関に勤務、
専門家派遣事業において小売・サービス業を中心とした支援に携わる。

お問い合わせ先
株式会社プロデューサー・ハウス
Web:http://producer-house.co.jp/
Mail:info@producer-house.co.jp

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