1. 組織・人事
  2. 2018.09.25

製造業の取組み事例から学ぶ、働き方改革実現のためにできること


はじめに

働き方改革は厚生労働省が推奨する、製造業や中小企業・小規模事業者にとっても注目すべき施策の一つ。2018年7月には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立しています。
国が推奨する実行計画には長時間労働の是正や非正規雇用の処遇改善なども含まれているため、製造業に関わらず、従業員を雇用する全ての会社が働き方改革を考える時期にきているといえるでしょう。

本記事では働き方改革のポイントをまとめながら、実際に製造業が実施した働き方改革の事例を紹介していきます。

1.働き方改革で注目すべきポイントとは

働き方改革のポイントをまとめると、次のように分類することができます。

・長時間労働など労働時間に関する見直し
・タイバーシティ(高齢者や子育て中の女性、外国人材の受入れなど多様な働き方)の推進
・在宅など柔軟な働き方を実現するための環境整備
・同一企業内における公正な待遇の確保
・ハラスメント防止対策
・人材育成と再就職支援
・最低賃金引き上げのための生産性向上支援

これらはいずれも、働き方改革を実現するためには考慮することが欠かせないものですが、製造業の中小企業にとって特に重要となる項目は「労働時間の見直し」と「ダイバーシティの推進」の二つです。
「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」では労働時間に関して時間外労働の上限規制が決められています。詳細は後述しますが、これは従業員の時間外労働が多くなっている場合、要点を理解しておかなければいけません。

また製造業界の人材不足の対策として、外国人材の受入れなどダイバーシティ推進は効果を見込める施策の一つでもあります。
労働人口の減少が進む日本の状況を考慮しても、製造業にとってダイバーシティ推進は取組みを検討すべき施策だといえるでしょう。

2.時間外労働の上限規制で変わること

これまでも過剰な長時間労働に対して行政指導が入ることはありましたが、法律で規制されていたわけではありません。これまでは労働時間には上限がないのが実情だったのです。
しかし今回「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」の成立によって、時間外労働の上限が定められています。主なポイントは以下の通りです。

・残業時間が原則として月に45時間、年間360時間となった
・臨時的な特別な事情がある場合でも月の労働時間は100時間を越えることはできない
・原則である月45時間は、年間6ヶ月間までしか超えてはいけない

このルールの施行時期は業種や業務によって違いがあります。
厚生労働省の公表している「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて~」では自動車の運転業務や建設事業に関しは5年後からの適用が適当である旨が明記されています。

また中小企業に関しては、「事情に配慮しながら助言指導を行う」といった内容の明記があるため、適用までの猶予はあるといえるでしょう。

しかし従業員の労働時間が月に45時間を越えることが常態化している場合は、何らかの改善が必要であることに違いはありません。
労働時間が過剰になると、法律違反だけではなく従業員の定着率が低下するリスクも高くなります。製造業の中小企業にとって、時間外労働の上限規制の変更に沿った労働環境の見直しは欠かせないといえるでしょう。

3.ダイバーシティの推進とは

働き方改革ではダイバーシティの推進が推奨されていますが、ダイバーシティとは多用な人材を積極的に採用することを意味しています。
では多用な人材とは何かといえば、それは外国人材や高齢者、そして子育てや介護中の女性です。
これまで労働力として大きく期待されていなかった人材を活用していこう、という取り組みがダイバーシティの推進です。

このようなダイバーシティの推進は人材不足の解消や生産性向上を目的として推奨されています。

実際に人材不足で悩む多くの企業が既にダイバーシティの推進を実践しています。
多くの企業が定年退職の年齢を60歳から65歳に引き上げています。そして2018年8月には国家公務員の定年退職を65歳とするため、国家公務員法改正を求める意見が国会に提出されています。

またダイバーシティの推進として、子育て世代のための時短勤務設定やテレワークの導入など、既に取り組みを始めている企業は少なくありません。

4.製造業の働き方改革取組み事例

働き方改革を自社でスタートさせるなら、既に行われている取組を参考にすることも大切です。ではここからは、製造業が実際に取り組んでいる働き方改革としてどのようなものがあるのか、順番に見ていきましょう。

【事例1】優秀な人材確保・定着のために所定外労働時間削減と年休取得促進を実施
セラテックジャパン株式会社では、優秀な人材確保と定着のために所定外労働時間削減と年休取得促進を実施しています。
同社が所定労働時間削減のために実施したことは、ミニカンパニー制と称したチームごとの独立採算制の導入です。チームごとで売上や利益目標を持たせることで、個人への負荷が下がりサービス残業の抑止に成功。定例会議の時間短縮にも積極的に取組み、3年間で所定労働日数を3日間削減することができています。

また誕生日休暇の設定と年次有給休暇の計画的付与制度を導入。その結果として、年次有給休暇平均取得率は50%を上回り、長野県いきいきアドバンスカンパニーとして認証されています。
さらに地域未来牽引企業に認定されるなど、働き方改革を実践することで、社会的な評価を獲得することにも成功しています。


【事例2】人づくりに着眼して所定労働時間削減と年休取得促進、テレワーク導入を実施
エムケー精工株式会社は働き方改革として所定労働時間の削減と年休取得促進、そしてテレワーク導入を実施しています。
所定労働時間削減の具体的な取組としてはノー残業デーの実施、フレックスタイム制の導入、研究開発部門の限度時間の引き下げなどです。
研究開発部門の限度時間はこれまで1ヶ月100時間としていましたが、その上限を80時間にまで削減しています。

年次有給休暇取得の取組としては、積立制度を設定しています。通常2年間失効する年次有給休暇を60日まで積み立て可能とすることで、社員は病気や家族の介護が必要となった際でも有給休暇を利用できるようになりました。
さらに結婚や出産、転居、介護など通常の勤務が難しくなった社員のために、テレワークの体制も整えています。

テレワークを導入したことで結婚を理由に県外へ転居した女性社員でも、テレワークで活躍することができるようになりました。優秀な人材の流出を抑止する環境が整えられているといえるでしょう。
このような取組みの結果として、平均所定外労働時間の削減、年次有給休暇の取得率向上などを実現しています。


【事例3】社員がいきいきと働くことができるように多用な働き方を導入
ダイニチ工業株式会社ではダイバーシティの推進の実践として、子育て世代でも就業できるように「子育てライン」を設定しています。
子育てラインは短時間勤務制度を利用している社員の働きやすさを考慮して設置されました。
同社では業務用ストーブの生産ラインを短時間勤務の社員が働くための専用の生産ラインとしています。

短時間勤務の社員の専用の生産ラインを用意することで、子育て中の社員が退社しやすい環境を整えることができています。
また取組みの結果として、これまで発生していたリーダーや班長による穴埋め業務を削減することに成功しました。

このような子育て世代の社員への配慮が功を奏し、2016年には育児休業取得後の復帰率は100%を達成しています。
また新潟県のハッピーパートナー企業に選ばれるなど、地域からの評価を獲得することにもつながっています。

まとめ

ここまで紹介してきたように、働き方改革は既に多くの企業が取組みを始めていますが、今後は製造業に限らずあらゆる企業が考えていかなければならない課題でもあります。
それは法律やルールの変更だけでなく、現代社会の状況からもいえることです。
少子高齢化や労働人口の減少などを考慮しても、ダイバーシティの推進や労働環境の改善は取組みを検討すべき課題であることが分かります。

また社員が幸せに働ける環境を整えることは、優秀な人材の確保や良い商品づくりにも反映されます。これから製造業が生産性を向上させていくためにも、働き方改革の実践は取り組むべき課題であるといえるでしょう。

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斎藤 千也/ライター

執筆者紹介文:

兵庫県出身のライター(フリーランス)。
会社員時代は主に人材派遣業界で営業や管理職として勤務。
2015年からライターとしての活動を開始。
これまで採用/転職/マーケティング関連のテーマを中心に1,000本以上の記事を執筆。

お問い合わせ先:
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