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  2. 2018.10.15

日本が世界に誇るモノづくりの心を体感 「燕三条 工場の祭典」に行ってきました!


金属加工の街「燕三条」では年に一度、モノづくりの現場を間近で見学したり、実際に職人さんから指導を受けながらモノづくり体験ができる大規模なイベントが開催されるのをご存知でしょうか?

それが「燕三条 工場の祭典」。今年で第6回を数え、来場者も年々増加している、今話題の製造業イベントです!
そんな注目イベントがあるなら行くしかない!ということで取材しに行ってきました。

そして今回は特別に3社様の製造現場を見学させていただきましたので、その際の体験レポートを順にご紹介します。

【藤次郎】世界に認められた、日本を代表する包丁ファクトリー

最初に訪れたのは包丁で有名な藤次郎株式会社のオープンファクトリー。
創立50周年を機に建てられたこのオープンファクトリーは、刃物メーカーとしては国内屈指の見学施設だそう。

現場の熱や音を肌で感じられる開放的なデザインが評価され、2018年度のグッドデザイン賞も受賞しています。

エントランスに入るとまず目に飛び込んできたのが古めかしい機械。
今回の工場の祭典のために、倉庫の奥からひっぱり出してきたのだそう。右から左へ書かれた文字に歴史の長さを感じられます。

1953年、農機具部品や農業用の刃物を製造を始めた藤虎農機が、今の藤次郎株式会社の前身となっています。エントランスに飾られているのは、農機具を作っていた時代からの製品アーカイブ。

見たことのない農機具から、剪定鋏など今は作られていない製品、デザイン性に富んだ最新の包丁までがずらりと並んでいます。

まず見せていただいたのは、打刃物を作る鍛造の工程。
包丁を作るといって想像するのは、熱した鋼を叩いて作る工程ではないでしょうか?
伝統的な和包丁は打刃物と呼ばれるこの製造方法で作られているそう。

鋼材を800度~900度に熱し、ハンマーで叩くことで強く鍛えていきます。力強く響く金属音と炉の熱気は迫力満点で、「ものづくりの現場に来た!」という実感が湧いてきます。

一方、金属の板からプレス機で抜き、そこから焼入れや研磨などといった仕上げを行う「抜き刃物」という製造方法もあります。抜き刃物は、安定した品質で生産ができるため、量産品に向いています。

藤次郎株式会社では、その打刃物と抜き刃物、両方の技術を持ち、それぞれの特性に合った包丁を製造しています。順路を進むと、抜き刃物の工程が行われている広い作業場に出ました。
天井が高く、空間を広く使った作業場の壁に沿う形で見学者の歩行ルートが設置されており、作業者のすぐそばで見学できるにも関わらず、安全に配慮された設計となっています。

ここで行われているのは
・溶接
・口元研磨
・刀身研磨
・目通し
・洗浄

の工程です。



厚みや大きさを自由にコントロールできる打刃物と違い、金属の板からプレスして作る打ち刃物は、最初は峰から刃先まで均一な厚みです。

それを調整するのが研磨の工程。回転する砥石で角度を変えながら少しずつ削っていきます。壁には工程ごとに包丁がどんな姿になっていくのかわかりやすく展示されていました。

研磨を終えた包丁は、研磨した時に出る粉を洗い落とされ、ハンドルとなる柄(つか)を溶接します。
包丁に命を吹き込む刃付けの作業は包丁の状態を見ながら砥石を使い分け研いでいくとても繊細な作業。機械はいっさい使用せず、全て高度な職人の手作業で行っているのだそう。

機械に任せられる工程はどんどん効率化し、人間の感覚や繊細さが必要な工程では職人の手作業を守る。品質と効率化を共存させると同時に、作業場と伝統や技術を伝える場としての両方を兼ね備えた工場だと感じました。

【玉川堂】200年の歴史を持つ伝統技法「鎚起銅器」のマニュファクチャ

次に訪れたのは、伝統技術「鎚起銅器」を200年以上に渡って究め続ける老舗企業、玉川堂。昨年、GINZA SIXにも直営店を出店し、海外からも高い評価を受ける、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの同社に訪問してきました。

早速工場の中へ進むと、「カン!カン!カン!」と小気味のよい金属音と共に、職人さんが一つ一つ手作業で銅板を金鎚で叩き、銅器の製作に当たっていました。

工場内には見学者用に製作プロセスのサンプルがあり、そこでは1枚の銅板から急須が製作される過程を知ることができるのですが…これが凄い!
のっぺりと平らだった銅板が、金鎚で叩き起こされ立体的になっていくまでがハッキリと分かるのです。

特に難しく時間と手間が掛かるのが、「打ち絞り」と呼ばれる、金槌で銅板を叩きながら縮めていく工程。素人がやるとまずシワが重なってしまうと言います。

製作プロセスの急須を見てみると、蓋を合わせる部分に銅のシワが寄っているのが分かりますが、これを絶妙な力加減と叩く順番を調整することで、シワが重ならずに成形されていくのです。

これが玉川堂のノウハウであり、業なんだとか。う~ん、奥が深いです。

また、工場内を見渡すと中には20代に見える若い職人さんの姿もありました。

以前は職人さんの高齢化が進んでいた同社も、近年は芸大で金工を学んだ学生さんが就職先として玉川堂に来るそうで、職人さんの平均年齢は35歳前後に若返りを果たしたと言います。

その若い人たちのアイデアを積極的に採用するのも玉川堂の魅力で、靴べらや名刺ケースなども若い職人さん達のアイデア商品。

どれもオシャレで、まさに古き良きものを取り入れながら進化を続け、伝統を次代に繋げていく姿勢に、200年続く秘訣を垣間見た気がしました。

【武田金型製作所】Apple社をクライアントに持つ、金型製作の雄

最後に訪れたのは武田金型製作所。まずはこちらの写真をご覧ください。

ステンレス板?表札?

いえいえ違います。
これは武田金型製作が展示会用に作成した、自社の金型の高い技術力をアピールする為の製品で、通称「マジックメタル」。

上のボタンを押すと、これが不思議。まっさらな表面から文字が浮かび上がってくるではないですか!

これを見ただけでも加工技術の精密さが伺えます。その実力が認められ、Apple社のiPhone、iMac、Macbook製品のパーツを武田金型製作所で製作していたこともあるそう。

「Apple社は製造に関する要求の高さが他の企業と比べても高く、一枚のアルミニウム板から削り出して造ることを強く求められました。

他にも徹底した秘密主義が敷かれ、製造時は何の製品を作っているのか明かされないのですが、その製品の発売日当日になってから、「実はMacbook airのキーボード裏面に使う部品だったんです」と言われるなんてことも。

自分たちが作った部品が使われているiPhoneが買いたくて、発売日当日に新潟市内の家電量販店に行って朝から並んだこともありました。幸い田舎なのであまり並ぶこともなく買えたことも含めて良い思い出です(笑)」

時折場を和ませながら、軽快な口調で分かりやすくお話し頂いたのが代表取締役の武田修一氏。
言われなければ気がつかない、自動車のワイパーや窓の施錠部分など、生活のあらゆる場面に金型製品が使われているということを改めて知ることができました。

まとめ

今回の取材を通じ改めて感じたのは、日本の町工場が持つ長い時間をかけて練り上げた高い技術力。それは現在進行形で進化を続けています。
時代の流れを受けてオートメーション化を取り入れる一方、ここぞというところでは未だに光る職人たちの技術。トレンドに合わせたモノづくりが継承されていました。

コスト削減を求めて製造拠点を海外に移す企業が増え続け、国内の製造力低下を憂う声が大きくなっていますが、キラリと光る町工場は燕三条だけでなく他の地方にもまだまだたくさん隠れています。

わたしたちアリババジャパンプレスも、優れた地元企業や地方での取り組みを取材し、微力ながら日本企業を元気にするお手伝いをしたい、そう思いを新たにしました。

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アリババジャパンプレス編集部

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アリババジャパンプレス編集部。
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