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  3. 2018.11.28

事業を好転させた中小零細企業が実践する、たった4つの戦略(第1回)
弱者はあえて、強い会社と違うことをせよ(差別化)


どうも!初めまして。小さな会社やお店の成功事例取材執筆出版や全国の商工会議所で講演をしている栢野克己(かやのかつみ)と申します。今回から4回シリーズで、ベストセラー計17万部の拙著「小さな会社の稼ぐ技術」と「小さな会社☆儲けのルール」のエッセンスを紹介します。

私の理論根拠は、ソフトバンク孫正義氏(以下敬称略)や旅行のHIS澤田秀雄社長が「創業期に導入し、今も経営の基本」と公言するランチェスター経営戦略です。
まあ、我々評論家がエラそうに言わなくても、黒字経営を継続している勘のイイ社長は自然にやっていることです。

経営の全体像を一言で言えば、
①何を
②どこの
③誰に
④どうやって新規に売って
⑤リピート客や紹介してもらうか。
⑥それをどんな組織で
⑦どうやって資金調達し
⑧どれだけ頑張って働くか。

経営用語で言えば
①商品戦略
②地域戦略
③客層戦略
④営業戦略
⑤顧客維持戦略
⑥組織戦略
⑦財務戦略
⑧時間戦略

以上の商品や営業エリアや客層や営業マーケティング方法で、いかに強いライバルと差別化して、何かで1位を意図的に狙い、そのためにはアレコレやらずに一点集中。さらに営業活動ではお客に近づく接近戦をするか、ということです。

今回は「差別化」についてご紹介します。

健食通販やずや創業者の矢頭宣男氏は商売には3つの段階があると語っています。
一段階目はどこにでもある商品をどこでもやっている売り方で売る、二段階目はどこにでもある商品を違う売り方で売る。そして三段階目がどこにもない商品をどこもやってない売り方で売る。

さて、3つのうちどれが一番儲かるでしょう?」とよく経営初心者に問いかけていました。
一つめの「商品も売り方も同じ」という売り方は、結局は価格競争で儲からないですね。商品は同じでも他と違う売り方をするなら、多少は価格競争を避けられる。
三つめは商品も売り方も他と違う差別化です。ということは、価格競争にならず儲かるのは三つめです。まあ実際にはこう単純じゃないですが。

やずやはいかに差別化したか?

やずやは当初、メーカーから仕入れたクロレラや明日葉の販売代理店でした。
商品は他社とほぼ同じですが、矢頭氏はチラシの広告コピー文章が上手く、売った後も手書きハガキや懇親会でキチンとフォロー。売り方で同行ライバルと差別化していました。
つまり同氏が言うところの二段階目ですね。

そして年商3億円になった頃、他の経営者仲間から「矢頭さん、そろそろ仕入れ商品ではなく、自分の商品を売ってみては?」と言われたことがキッカケで自社オリジナル商品の開発に着手することにしたそうです。
そして、1991年に大麦若葉を顆粒にした「養生青汁」の通信販売を開始し、これが大ヒットを記録。たちまち年商100億を売り上げる企業となり、現在は年商250億前後の大企業へと成長を遂げました。

詳細は著書『創業者夫婦が初めて語る「やずや」の秘密』にて

実は創業当時、青汁では同じ福岡のキューサイが先行して成功していました。キューサイの青汁は、キャベツの原種ケールを冷凍ジュースにしたものです。
「マズい!もう一杯!」のCMが当たり、ヤクルトのような人的販売の代理店経由で売っていました。

矢頭氏も、半年ほどキューサイ青汁の配達代行を経験していたのですが、その際に「この青汁カラダに良いんだけど、マズいのよね(笑)」と消費者からよく聞いていたそうです。
なんとかして、健康に良く、味も美味しい青汁は作れないものかと考えていた時、愛犬が散歩中に食べる草が気になり、早速メーカーに依頼して調べてみることにしたのだそう。
すると、大麦系の青葉は栄養素が高く、さらにハトムギ等を混ぜると美味しくなることが分かったのです。そして顆粒スティックにすることで、持ち運びもできるようにしました。

一見すると、ある意味キューサイの二番煎じで商品は同じ青汁ですが、キューサイは冷凍食品で保管や解凍に手間が掛かり、さらに味は健康の二の次という印象。
それに対し、やずやは顆粒スティックで持ち運びにも便利かつ美味しい商品で差別化を図ったのです。

売り方も、キューサイは販売代理店の営業員が人的販売を行っていましたが、やずやは商品開発物語を書いた手紙風チラシによる通信販売をするなど、徹底的に差別化を図りました。

私は通販が伸びている理由の一つは、営業マンや販売員に直接会わないので売り込まれる圧迫感もなく、注文や解約も電話やメールで簡単気楽なところだと思います。売り方の差別化ですね。

あなたは同業の先発強者と比べて、商品や売り方でどんな差別化をしていますか?

一風堂は日本初の〇〇向けラーメン店

先日、今や国内と世界に100店舗以上、年商250億のラーメン一風堂創業33周年かつ東証一部上場記念パーティに参加しました。私が最初に博多本店で食べたのは1992年。当時はまだ福岡に3店舗の零細店でしたが、実は一風堂は既存先発の豚骨ラーメン店がやっていなかった、日本初の差別化にチャレンジ中でした。

創業者の河原さんはスーパーマーケット勤務を経て、1人でバーを開業した方。大事なキーマンは顔と名前と誕生日まで覚えて接客をし、1人で月商500万円を超えるバーにまで成功させました。そして、閉店後には最後のお客といつも〆のラーメンを食べにいくほどのラーメン好きだったそうです。仕事柄、ラーメン店の席数や回転数を計算すると繁盛店は儲かっていることに気がつきました。

一風堂のイベントで。河原創業者と著者

バーのメイン客である女の子に聞くと博多豚骨ラーメンは嫌いじゃない。が、女性一人だと入りにくいという。
昔ながらの豚骨ラーメン屋は臭い、汚い、怖い。ラーメン屋は店主も客も男だけ、というのが当時のラーメン屋に対する一般的なイメージだったと言います。

そこで、女性にウケるようバーのような店構えにして店内にはジャズを流すようにしました。掃除も徹底し、丁寧な接客を行うように従業員を教育します。匂いについても豚骨臭を抑えてマイルドに改良しました。
結果は初年度から大ヒット。それまで既存先発ライバルの豚骨ラーメン屋の店主たちが考えたことがなかった「日本初の女性向け豚骨ラーメン店」という差別化に成功しました。

同業が無視していた女性という客層に合わせて、商品と接客と店構えも変えたわけですね。結果としてカップルやオシャレ好きな男性にも好まれるラーメン店になりました。

「顧客は誰か?誰にすべきか?」というのはドラッカーの名言ですが、自分とライバルの客層を傍観して、先発強者が手付かずの市場がないか考えてみることで、「顧客を誰にすべきか」が見えてくるでしょう。

子供向けサッカーや野球の教室運営で会員数日本一になったリーフラスは、既存先発が無視していたスポーツが苦手な子供に特化、フィットネスのカーブスは60代70代のシニア女性に特化するなど、それぞれ客層の差別化で巨大なブルーオーシャン市場を掘り当てました。

あなたの業界で、同業先発が見過ごしてる客層はないですか?

どこにでもある「唐揚げ弁当」の差別化

福岡で7年前に友人が唐揚げ弁当屋を始めました。それまで浄水器販売や内装下請やパイ専門店も失敗。次は弁当のテイクアウトをやろうとするも、大きな弁当チェーンは既にある。
ならばメニューは一つに絞ろうと唐揚げ弁当だけを350円で販売する、小さな数坪の居抜き店舗を奥さんと2人で始めました。するといきなり初月に月商200万円を超え、現在は30店舗全店黒字で年商8億円のチェーン店に急成長しました。それが「博多とよ唐亭」です。

私は4年前の飲食勉強会で当時5店舗の「博多とよ唐亭」豊永社長と会い、翌日には視察を兼ねて妻と食べに行きましたが、どこにでもある街のお弁当屋という印象でした。ところがその後も店がどんどん増えて明らかに成功している。

唐揚げ弁当は弁当屋以外でもコンビニやスーパーには必ずある、ライバルだらけの定番食ですね。九州では唐揚げ元祖で大分中津発の唐揚げ屋もたくさんある。果たして「博多とよ唐亭」は他と何が違い、どんな差別化をしているのでしょうか?

唐揚げ弁当だけに絞り、快進撃を続ける「博多とよ唐亭」

大分中津系の多くは唐揚げ単品のみでご飯はつきません。主婦が買うおかずか、学生のオヤツです。主食になるご飯付き唐揚げ弁当とはニーズが違う。

コンビニやスーパーの唐揚げ弁当との違いは何か?コンビニやスーパーで売られるから揚げは工場で大量生産されているため、店頭に運ばれた時点で唐揚げは冷えて萎びていますね。レンジでチンしても味は落ちます。

一方、「博多とよ唐亭」は店頭でお客から注文が入ってから揚げます。大量生産に比べると手間もかかるし効率も悪い。でも出来たて揚げたて熱々ですね。
厳密には、一度揚げてストックしたものを、お客から注文受けた時に二度揚げする。実は唐揚げは一度揚げたものより、二度揚げの方が美味しいんですね。

私は比較検討のために弁当チェーン店の唐揚げ弁当も久々に食べてみたのですが、博多とよ唐亭の方が美味しい!チェーン店もお客から注文入ってから作りたて出来立てを提供していますが、なぜか2回とも唐揚げにサクサク感もなく、肉も小さく萎びた感じがしました。
この差の詳細理由はわかりませんが、チェーン店では平均約20種類のメニューに対応するため、唐揚げ専門店に比べると「解凍や揚げ方で効率重視にならざるを得ない」と飲食コンサルタントが話しているのを聞いたことがあります。

小さな店でも、出来立て作りたてでコンビニやスーパーの冷えた唐揚げ弁当に勝ち、メニューが多い巨大弁当チェーン店には唐揚げ弁当のみで勝負ができるのです。

あなたは何に専門特化して先発強者と差別化しますか?

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栢野 克己/株式会社インタークロス 代表取締役

執筆者紹介文:

小さな会社や独立起業の事例研究家。作家。小企業コンサルタント。
人生や経営の成功事例講演を全国の商工会やJC、法人会などで約1,500回講演。
講師を招いたセミナー交流会「九州ベンチャー大学」、「人生経営計画セミナー」などを18年間で1,000回以上主催し、累計で延べ1万人が参加。
著書『やずやの秘密』、『弱者の戦略』、『小さな会社☆儲けのルール』、『大逆転!バカ社長』は累計22万部のベストセラービジネス作家。
日本・中国・韓国・タイ・インドネシアでの翻訳版も出版。累計69ヶ国渡航。


問い合わせ先:
Email : kayano55@gmail.com
TEL : 092-781-5252
URL : http://yumesenkan.jp/

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