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  3. 2018.12.10

Excelでの顧客管理ではなぜダメか?CRMを導入すべき理由


新規顧客開拓や既存の取引先との関係の強化は、中小企業に限らずどの企業にとっても重要な課題です。これらの施策を打つために重要となってくるのは見込客や既存客の顧客情報でしょう。

顧客情報には
・会社の基本情報(住所や業態、業種など)
・担当者の情報(名前、連絡先、役職など)
・コンタクト履歴(商談した日時や内容、問い合わせがあった日時や内容など)
・購入履歴(購入した日時、商品、個数、価格など)
などがあり、新規顧客開拓や既存顧客との関係性を深めるために重要な情報が詰まっています。

今年、中小企業に行ったある調査によると、「顧客情報の管理に取り組んでいる」という企業は20%にも満たなかったという結果でした。企業の多くが顧客情報は重要と考えていながら管理に取り組めないのはいったいなぜなのでしょうか?

Excelでの顧客管理ではなぜダメか?

アンケートによれば、中小企業が顧客情報の管理に利用しているツールはExcelなど表計算ソフトが最多。その次が昔ながらの紙の台帳です。

Excelでの顧客管理は案件数や関わる担当者が少ないうちはいいのですが、規模や社員数が増えていくうちに、各自が自由に項目を追加したり、独自のルールで入力したり会社として統一した管理ができなくなる恐れがあります。
その結果、同じお客様に別々の営業担当者から重複して連絡が行ってしまったり、担当者が退職した場合の引き継ぎに漏れが出たりしてしまいます。

また、展示会で獲得した名刺データ、DMを送った企業リストなどその場その場でリストを作っていて、重複や漏れが発生してしまったことはないでしょうか?
イベントごとにリスト作成をしていると、1つの企業についての接触履歴がまとまっていないため、全てのファイルをひっくり返して確認するなどという、手間が発生してしまう可能性があります。

大量のデータをシステムに移行するのは非常に手間がかかるため、顧客の様々な情報を統合して管理したい、またそのデータを分析して戦略立案に活かしたいという場合は、早めにCRMなどの顧客管理システムにデータを移すことをおすすめします。

CRMとは

CRMとはCustomer Relationship Managementの略で、顧客の情報を簡単に入力・集約・共有・分析できるシステムのことです。
現在、ほとんどのCRMはクラウドサービスになっているため、自社でのサーバ設置やインストールなどは必要ありません。PCとインターネットさえつながっていればすぐに使うことができます。

基本的な構造としては「担当者情報」「注文履歴」などの独立したデータベースが連結して存在しているため1社につき複数存在する注文履歴やコンタクト履歴をいくつでも登録できます。
Excelの表だとこうはいきません。入力したい内容が増えるたびに項目がどんどん増えてしまい、やたらと横に長く使いづらい表になったことがある人も多いのではないでしょうか。

また、データをいろいろな条件や切り口で抽出することができるため、例えば、「この商品を〇年前に購入した場合、そろそろ部品の交換時期なので部品交換を促すメールを送ろう」など、顧客ひとりひとりに合わせた販促が簡単にできるようになります。
あるエリアの顧客を抽出し、購入されている商品を分析することで、そのエリア共通の傾向などが見える可能性もあります。

導入事例

・昔ながらの手書き宿泊台帳からクラウドによる顧客データベースへ(陣屋)

神奈川県にある老舗旅館陣屋は、予約台帳・顧客台帳が手書きであることによる予約の重複や共有漏れが課題でした。予約・顧客管理システムの導入が会社の業績を大きく左右すると考え、クラウドCRMシステムを導入します。

CRMを導入してまず変わったのが予約業務。もともと手作業で管理していた予約を全て自動化したことで、予約が入った瞬間に部屋割が決まり、全従業員に情報が共有されるようになりました。
導入前は4人必要だった予約業務が今ではほぼ1人の従業員でこなすようになったそうです。従業員はタブレットで情報をいつでも見れるようになり、「この件は〇〇さんでないとわからない」というような情報の属人化がなくなりました。

・顧客分析してわかった傾向をEメールマーケティングに反映(石巻元気商店)

2011年の東日本大震災後、泥かきのボランティアとして石巻に来た若い女性たち。
彼女たちが石巻の復興のために立ち上げたECショップが石巻元気商店でした。ネットショップを立ち上げるリソースやスキルがない地元の商店の代わりに、WEBデザインやキャンペーン企画など、ネットショップの運営を行うことで始まったショップです。
導入したCRMで顧客の分析を行ったところ、海産物を購入した顧客は40代から50代の高額商品を購入する顧客で、リピート率が高いということがわかりました。
そこでこの顧客層向けのメールで、高級海産物を紹介するようにしたところ、メルマガ経由の売上が2倍になるという効果がありました。

・納期や進捗が見えづらいという課題を解決。創業以来最高売上を記録(京屋染物屋)

創業100年以上の染物店「京屋染物店」はオリジナルの半纏や法被、のれんなどのデザイン、染め、縫製までを行っている会社です。
複数の異なる工程ごとに部署が分かれており、部署間社員間の情報共有の不足から、本来1,2週間で納品できるものも多めに見積もらざるを得ないため、「納期は1ヶ月」と伝えてしまっていたといいます。それで逃した受注も多かったそうです。

試行錯誤のうえ、コンサルを入れたうえでのIT導入に踏み切ります。現場の声を反映させたシステムにしたことで、社内の情報共有が進み、顧客に最短の納期を伝えられるようになりました。
0時すぎまで残業することもざらだった現場も、業務時間が短縮されたことでほぼ17時に終業できるようになったそうです。

導入時に気をつけるべきこと

もちろん、CRMをただ導入したからといって、すぐに何か劇的に変わるわけではありません。
先ほどご紹介した京屋染物店が最初に100万円もかけて導入したシステムは、従業員の意見を聞かずに仕様を決めてしまったために不満が続出。だんだんと使われなくなってしまったと言います。
ではCRMの導入で成果を出すためにはどうすればいいのでしょうか。

1.目的を明確化し、それにあったCRMシステムを選択する

CRMを導入することで業務を効率化したいのか、売上を上げたいのか、顧客満足度をあげたいのか、まずはそれを決めることが重要です。それによって管理すべき項目や分析したいデータが異なるはずです。
たくさんのベンダーがそれぞれの特長を持ったシステムを作っているので、目的や管理したいデータなどから、最も適したシステムを導入すべきでしょう。

2.導入・運用のプロジェクトチームを作る

CRM導入では、現在の業務フローや運用ルールなどを細かく知る社員を中心とした、プロジェクトチームを作ることが必要です。
実際に入力するのは現場ですから、どういう入力項目であれば入力しやすいかという現場の声は必須ですし、部門ごとに利害関係が異なる場合には役職者間での調整が必要になってきます。

各部署・各役職のメンバーを入れたプロジェクトチームが理想でしょう。またチームができたとしても、それ以外の社員が無関心にならないよう、プロジェクトメンバー以外のメンバーの意見も積極的に聞くようにすべきでしょう。
導入の目的や何の役に立つのかの理解が深まり、自分の業務にも影響するものなんだという意識を持つでしょう。

3.導入した後もプロジェクトチームが運用をフォロー

システムの仕様を決め、ようやく導入までこぎつけてもそこで終わりではありません。導入後に各部署がきちんと入力をしているか、管理職は入力されたデータをきちんと活用しているか、仕様への不満はないかなどを定期的にチェックし、プロジェクトチームが改善のためのアクションプランを作成し、実行できる体制が必要です。

有効に活用すれば大きな成果を生む可能性があるCRM。ただし導入は容易ではありません。
業務を整理し、目的に沿った仕様を決め、定着のための継続的なフォローをするといった労力はかかりますが、そこに蓄積されたデータはその後の経営にとって大きな価値になるはず。顧客管理に課題があるのであれば、一度検討してみてはいかがでしょうか。

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アリババジャパンプレス編集部

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